Diary
沖縄滞在日記

レジデンスの締めくくりトーク@那覇 8/2

記:水野立子

8/2
1ヶ月間ビデオを回してきた山城知佳子さん、備瀬から合流した砂川敦志さん。二人の撮影した映像は相当な量になる。毎夜、昼間撮影した映像を整理しないといけないので、無駄話をする時間もないほどハードな日々だった二人。一昨日終わったばかりの伊江島での公演なのに、翌日の今日のトークで上映したいという無謀な私のオーダーに徹夜で応えてくれたおかげで、宮古島、那覇、備瀬、伊江島と各地のレジデンスの一端を映像で振り返ることができた。駆け付けてくださった各地の受け入れ元の皆さんにとっても、自分のところ以外でのレジデンスの様子の一端を垣間見れてよかったと思う。


(伊江島公演の直前、カメラセット中の山城知佳子さん)


(山城さん、砂川さん)

嬉しいことに、伊江島の公演には来れなかったけれど、那覇でのこのトークに駆け付けてくれた方が大勢いた。なんとレジデンスの最初の地、遠く宮古島から、ジョニーこと宮里昌吾さん、友利地区でお世話になった玉城さん、そして宮古の歌でもてなしてくれた歌手の与那城美和さん、1ヶ月後に同じ沖縄で会えるなんて嬉しいことだ。そして、宜野湾のスクエア・ダンススタジオからは、伊江島公演に引き続き皆さんで参加してくれた。今回、広報宣伝は沖縄在住のデザイナーにお願いしたのだが、WEBデザインの仲宗根さん、チラシデザインの奥平さんも参加してくれた。

沖縄で初となる国際アーティストインレジデンス。このように、公演が終わっても関わってくれた方々が集まってきてくれることから、このプロジェクトへの興味の深さが感じられて嬉しい。ノーラにとっても、沖縄の人にとっても異文化と同文化の両方を発見した日々だった。ノーラの出身であるアフリカ、といっても大陸は大きく国によって歴史や文化、差別や困難に立ち向かう方法も異なっている。同様に沖縄の歴史も支配されただけではなく、そこから軽やかに知恵と交渉で築いてきたものがあったことを学んだ。伝統や芸能が現在どのように沖縄の各地の生活と共に残っているのか。そこもまた、一括りにできないのが沖縄だ。それらの入口に触れただけかもしれないけれど、1ヶ月レジデンスしたからこそ確実に受け取れたことがある。アフリカ人でNY在住のノーラが何を感じとり、これからの作品にしていくのか、観ていきたいと思う。

ノーラが語った中で印象的だった言葉、「沖縄の美しい自然、海に囲まれた環境の中にある芸能や踊りは、アフリカの踊りとも腰の低い位置や、リズムに共通点がみれた。そして、アフリカ人もそうだったように、沖縄の人も差別を受けてネガティブで暗い精神だけではなかった。誇りを失わず、したたかに生きてきた強さがあった。現代もかわらない人種差別はまだあるけれど、その時代のことを忘れない。私たちがやることは、伝統ではなくコンテンポラリーダンスとして提示していくこと。この歴史ある沖縄の文化伝統の上に、私はコンテンポラリーのアートをもって今を表現しなければならない。」

昨年の秋、沖縄県立美術館に前田さんに相談に行ったとき、ノーラのダンスにとても興味を持ってくれて沖縄でのレジデンスに全面的に協力していただけることになった。前田さんの協力がなかったら、何もできなかっただろう。白い砂がある備瀬に行くことを薦めてくれたこと、そこにはShinBowさんが住んでいたこと。宮古島、伊江島を紹介してくれたこと。全ての繋がりと実現への糸口を開いてくれたのが前田さんだった。美術館に身体表現の必然性を唱え続けてくれいる沖縄のアート界になくてはならない存在だ。前田さん、移動やコーディネートの手配ありがとうございました!


(伊江島のリハーサルをみている前田さん)

準備で那覇を訪れた4月末。1960年代ヒッピー風の怪しい風体のまだ25歳のアキ君。レジデンスが始まる前から、叱咤叱咤叱咤激励激励叱咤叱咤くらいのハードなことになったけど、最後まで逃げ出さずにファイトでやりぬいてくれた。通訳、制作スタッフ、運転手、舞台美術、設営、と何種類もの役割をずり落ちるズボンを引き上げながらこなしてくた。あと30年経ったらきっと笑えるネタになるさ。

(相棒 前田アキ君と)

というわけでこの滞在日記もようやく終わりを告げます。この滞在制作が全ての関わった人にとって、それぞれの形で実りとなることを願うばかりだ。
サポートいただきました皆様のお名前を記しておきます。どこかでまた再会できることを楽しみにしています。
ありがとうございました。

(敬称略)
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