Introduction
はじめに

ジンバブエと沖縄―遠く離れた2つの国は、どこか似たところがある。
自然と先祖への信仰・神への祈り、過去と現在が同時に渦巻いている地・沖縄へ、
ー滞在制作の旅が始まる。

今回、招へいするアーティストは、昨年に引き続きアフリカ・ジンバブエ出身で米国N.Y.を拠点に、その活動が注目されている振付家・ダンサーのノーラ・チッポムラさん。
ノーラは、アフリカの文化・美・歴史・差別・人種・女性などのテーマを、アフリカへの誇りを持つ自身の目と体で見つめ直そうとしている。黒人の体とは何か?表現するとは何なのか?人の生い立ちとは何か?を問い続け、ダンス作品制作に向き合っている。

私が5年前“沖縄”を意識し始めるきっかけとなった作品「熱風」(作:飯名尚人)。昨年の夏、再びこの作品で沖縄の音楽家ShinBowとノーラが、京都で初共演した。ShinBowの奏でる三線と唄声は、ノーラに祖国の郷土芸能を思い出させたようだ。

ジンバブエと沖縄―遠く離れた2つの国は、どこか似たところがある。共に支配された歴史があり、共に自然崇拝や芸能が生活の中に豊かな文化を育んできた。

今年新緑の5月、初めて訪れた宮古・伊江・備瀬には、先祖への信仰・神への祈りが、ごく当たり前に日常の隣に存在し、過去と現在が同等に渦巻いていた。この美しく貴重なものたちを誰もが失くしたくはない、と願う。

ノーラという振付家の目には、今日の沖縄がーここで生活している人々や芸能家・芸術家と出会うことで、何が見えてくるのだろうー滞在制作の旅が始まる。

プログラム・ディレクター:水野立子

photo:平野正樹・国境なき写真家旅団

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