Diary
沖縄滞在日記

初の宮古島、下見1日目


(大神のあかばな・沖縄の小ぶりなハイビスカス)

4/21 宮古島

>>いたるところに神が宿る島。

7月3日より開始するノーラの沖縄でのレジデンス・プロジェクトの下見のため、宮古島・伊江島・備瀬を回ることになった。2002年から「踊りに行くぜ!!」という全国ダンス巡回公演で、那覇を中心に沖縄本島には幾度となく来る機会があったが、離島へは今回初体験。
このプロジェクトの沖縄内のコーディネートを担当してもらう沖縄県立美術館・博物館の前田比呂也さんのネットワークを駆使して、ノーラのレジデンスは宮古島、伊江島となった。私には両島とも全くの未知の土地となる。宮古島はどこら辺にあるのかなと世界地図でみると、台湾が目の前に。かなり南、日本はアジアなんだと実感。神の島と言われる宮古島は沖縄の人にとっても“呼ばれないと行けない”場所らしい。今回は、このプロジェクトのドキュメント映像を制作してもらう山城知佳子さんも下見に同行する。沖縄生まれの山城さんでさえも、なんと、初めての宮古島行きだと聞いて驚く。

天気は良くない。まあ、勢い込むと大抵そんなもんだ。それでも大雨の予報が外れ、曇り時々雨で良かった。
2日間の宮古の案内を買って出てくれたのは、亜子さん。なんと、2007年「踊りに行くぜ!!」を前田さんが美術館共催として開始した年に、制作で関わってくれたあの亜子さんだった。小学校の美術の教師として宮古島に赴任すると聞いた記憶が蘇った。そうか、あの宮古島か。リアルさが湧いた。
7年の歳月を経て、私もようやく呼ばれたのかもしれない。か細くて頼りなさそうな沖縄美少女だった亜子さんが、3歩先廻りしてテキパキとスケジュールを切り盛りしてくれる、頼りになる女性に大変身!感動―。
(山羊と亜子さん)

朝7時起床。まず最初に訪れたのは、宮古島博物館。宮古特融の芸能、神事の資料がある。動画や音声がないのが残念だ。
印象に残ったのは狩俣島尻の悪霊払い伝統行事“パーントゥ”。写真に思わず笑う。ピグモンみたいな可愛い怪獣のようで、全身泥を塗りたくり、子どもに擦り付けるそうだ。これが本当にドブさらいのドブのような匂いがするそうで相当臭いらしい。青森のナマハゲと違って、どこかコミカルな出で立ちに笑える。

この時はまだ「スケッチ オブ ミャーク」という宮古島の神歌や神事を紹介するドキュメント映画をみていなかったので、あまり想像できなかったけれど、宮古は他の地域と比べてかなりな貴重な資料があることが、後からわかってくる。
今現在、このような儀式や神事がなくなってきているのは、他所からみれば呑気に「残念だ」と言うだけだれど、何故そうなってきているのか?そこで暮らす人々にとって現実的な様々な問題があるのだろう。
観光としてではなく、そこで生活する上でなくてはならなかった必要な儀式や神事が、平たく言えばなくても生活できるようになってしまった。けれど、それらを大切なものとして引き継いでいきたいという思いも存在している。何が難しくて何が必要で、どうすれば受け継いでいけるのだろうか。「ヤマトンチュー(本土の人)にとっては、過ぎ去ってしまった大昔のことで、そのこと自体も忘れ去ってしまったが、ウチナンチュー(沖縄の人)では今まさにその変わり目にいるような気がする。」と伊江島の受け元になってくれている友寄さんの言葉が思い出される。7月のレジデンスで沖縄の各地がどのようになっているのか知りたいと思う。

博物館を後にして、大神という島へ。宮古島からさらに島にフェリーで渡る。10分くらい。
「夏来たらこんな色どころじゃないよ」と言われるが、曇り空だろうがグレーだろうが、こんな透明な海は生まれてこのかた見たことがない。いったい夏はどうなってしまうのだろう。この大神は、50戸くらいの民家があり、亜子さんの実家があったそうだ。島が岩山みたいになっていて、まずは神さまがおられる山に登る。亜子さんは、この山に続く坂道で結婚式をしたそうだ、なんと贅沢な式だろう。大金を出してもできることではない。

日頃の運動不足がたたり息が切れつつ登る。途中、沖縄産の小ぶりのハイビスカスの赤が、緑の中に映える。
ようやく登頂、岬の全貌がみえる。ナスカ遺跡みたいな宇宙人が配したとしか思えない岩の配置。自然の力はすごい、恐ろしいパワーだ。

大神に精通している亜子さんに、神が降りる場所=御嶽に案内してもらう。知らなかったら、絶対に来れないようなけもの道を分け入ると、いつしか手入れの行き届いた光の満ちる場に変わっている。緑の木々が気持ちよさそうに、ちょうどよい加減にはえている祈りの場。自然と先祖に手を合わせる日常が納得できる。

フェリーが出る時間まで、岸ぎわをドライブ。海と岸の境が以前は舗装されていなかったので海際まで寄れなかったけれど、道ができたので海が近い。だけど、コンクリートで歩道をつくったため、海と陸の間に余計な空間ができてしまい、みるからに自然が壊されている。人間の快適さのためにもったいないなあ。
今日は「大潮の日」ということで、女性が海に出て潮干狩りなどをして楽しく遊び、厄を落とす日だそうです。山城知佳子さん、亜子さんと海に入りさっそく厄払い。する とどうしたことか、3人の中で熱帯魚の青い魚の群れが、私の足にだけ集まってきて離れない、つつきまくられた。青い魚が寄ってくるなんて、こんな幸せがあるのかと思うほど嬉しかった。


女性の大潮の日・厄払い

>>観光というより、こだわりの哲学でつくった石庭

大神とお別れして、宮古にしかないであろう海藻炊き込みご飯+たこ丼を食べて、巷では「パワースポット」と言われている名所である石庭を2つ見学した。観光名所として紹介してくれたというより、宮古島でこのプロジェクを受け入れてくれるすこぶるパワフルで熱のある人々が、ノーラのダンス公演をやるとしたら、ここだ!というおもしろい野外公演場所の候補地。

どちらの石庭も、一人の男性によって長い歳月をかけてつくられた言わば、プライベートの庭。共通点は、上り坂が激しい山のような庭である。この山にこうしてえっちらこっちら石を運び、庭をつくったというその時間と根性に感服。
まずはパワースポットで瞑想、私がやると迷走、をしてみる。

2つ目の庭は、石庭というより空中庭園。作庭者の大浦しげるさんが、台湾や中国から浜辺に漂流してきた発砲スチロールや、木やガラスを拾い集め、ここに運びこみ作っていったそうだ。この山までこれだけのものを拾い集めて運んでくるとは・・・この執念ともいえるこだわりとは、どこからくるのだろう。
そしてその主のしげるさんが自ら石庭を案内してくれ、そのうち見学者の私たちに、いろいろとポーズをとらせ記念撮影をするようにと、課外授業が始まった。そしてそれを真面目にできるまで何度もやってしまう、乗りのよい私たち。空中を飛んでいる写真になるまで何度となく足を曲げてジャンプせよ、とでやらされた写真がこちら。あんまり成功してないけど、山城知佳子が一番、はりきった!とりあえず場所のパワー満載の宮古島の1日目が終了。


右端が石庭の作者、しげるさん。


(謎の石庭)

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