Diary
沖縄滞在日記

宮古の自然と人のパワーを浴びる


下地島サシバ 山城さんと前田さんサシバになる

4/22 宮古島

>>人頭税とクイチャー

宮古島には人頭税という過酷な税制の歴史があった。143cmの石より背が高くなったら税を払わなくてはいけないという、厳しい税制に薩摩藩から苦しめられていた。(実際は身長ではなく15歳からという年齢の説もある。)この人頭税石がこちら。本当に小さい。これだと未成年どころか中学生も対象になったことを実感。

クイチャーフェスティバルのパンフによると、人頭税から解放された明治36年、島民はその嬉しさをクイチャーを踊り喜びあったそうです。
以下、パンフの解説「クイチャーは雨乞いの祈祷の踊りとも言われ、大地を踏みしめて踊る、始めはゆるやかに次第に激しく、リズミカルにダイナミックになっていく。ただ単に声を合わせて踊るのではなく、神や自然への敬虔な祈りと感謝をこめている。」
美術館の前田さんは、ノーラのアフリカの大地を踏みしめて踊るようなダンスと、このクイチャーとの共通点を感じ、此処、宮古島でのレジデンスを提案してくれました。

エイサーに押され気味でクイチャーを踊らなくなってしまった宮古の若者のためにも、地元・島の文化であるクイチャーを伝承したい、クイチャーを踊ろう!ということで「クイチャーフェスティバル」を開催をし復活につとめている実行委員長の下地暁さん、前里真吾さんにお会いしました。外見はロックンロール以外の何者でもない出で立ちで、和製エルビス・プレスリーという感じです。特に髪型が決まっている!
下地暁さんはシンガーソングライターで有名な方。 初代宮古島大使(2010年宮古島市任命)で、 DJも人気。今回はスタジオにお邪魔してクイチャーへの熱い思いをお聞きしました。(京都に帰ってからTSUTAYAで下地さんのCD「Myahk」を発見。伸びやかな歌声で宮古を謳歌!)宮古島でのレジデンスに協力していただけることになり、前里さんの車で宮古島巡りの2日目がスタート。


ロックンローラーの前里さん!

>>「通り池」並々ならぬ自然界と、パワフルな島の人のエネルギー

伊良部島のさらにとなりの下地島へ車を走らせる。伊良部島に橋が架けられ、大神のようにフェリーに乗らなくても島に行けるようになった。大城知佳子さんからリクエストが出た「通り池」という名所を目指した。車窓からは曇り空の下、潮が引いた海に岩が点在している。この世の果てのような景色だ。

束の間の青空になり解放的な絶景、高い地に花の道が続く。と思いきや、その先端に突如現れた空洞、闇、巨大な穴が出現。天国と地獄が地続きに。「ユナイタマ伝説」と「継子伝説」というかなり濃い伝説の説明が書かれている。暗い伝説と暗い深い闇の池。

この2つの穴は底でつながっていて、ダイバーに人気スポットらしい。種類豊富な魚や眠り鮫がいるそうだ。鮫、鮫がいる・・・。私たち一行は、この穴に落ちてしまった場合どうするかという、ありえないだろう仮説を立て、窒息覚悟で潜水で鮫のいる底を泳いでいくことにトライするか?それとも、ずっと池に浮いているか、という問答をして妙に陽気にしていた。なんだかこの穴のエネルギーに吸い込まれそうな気配から逃れたかったからかもしれない。なんかバカみたいなことを言ってないと、やばいと感じていたように思う。「自然」というものとあまりにも遠い生活をしている私には、自然に不慣れで過剰に感じてしまう。

自然の力に英気を養われるというが、私の場合、かなり英気を吸い取られたような感じになりしばし脱力。その後、叶という素敵なお店で文化協会の大城裕子さんにお会いし、宮古島でのノーラのワークショツプの打ち合わせをして会場をみにいく。宮古にノーラが来ることをこんなにも熱望してくれる人がいて驚く。ワークショツプの前にノーラが何を考え、どういう活動をしてきたのかを知りたい、アーティストトークを聞きたい、というリクエストをいただいた。私が「えーそんなのやっても誰も来ないんじゃないですか?」と言うと、宮古は来るんだ!という意外な嬉しい情報をいただいた。

ノーラの宮古島でのレジデンス場所について吉報が入った。沖縄の古民家に、しかも「エコ住宅」という名で安く泊まれるところを亜子さんが見つけてくれた。 外国からきてホテルより、その国の文化に触れる家に泊まれることは、とても嬉しいことだ。中庭があって、裏座、一番座、があり自炊もできる素敵な沖縄の家 だ。そして、これも縁に呼ばれているなあ、と思えるのはこの地域「友利」という場所は、クイチャーの中でも伝統的なものが残っている地域だということ。隣 には公民館があり、芸能の集いの場になっているようだ。ノーラも使わせてもらえるらしい。なんだか宮古ではいい環境のレジデンスができそうで嬉しい。

夕陽が沈むころ宮古島を拠点にクバを素材に編みの創作を行っているアーティスト小川京子さんに、アトリエでお会いした。以前、沖縄県立美術館で ダンス公演をみたときに、印象に残る植物で編んだ仮面を小道具に使っていたが、アトリエに入ったとたんに、その時の仮面を思い出した。やっぱり小川さんの 作品だった。クバのエネルギーを信じ、小川さんのパワフルな活動はどこまでも広がっていく。いまはなんとクバの食を探求中だそうだ。ノーラが宮古島に出会い両者が実りのある滞在にしたいという思 いが伝わってくる。

>>宮古島の祈り

速足で通り抜けた2日間の宮古初体験。今回の沖縄でのノーラのレジデンスは、ノーラが宮古の滞在から影響を受けるだろうことと同様に、宮古の人たちにとっても何か相互作用が起きることを切望していると実感した。このあと、宮古だけではなく、沖縄の各地で特色は違うけれど、レジデンスすることがきっかけで新たな風というものが吹くようで、そのことが武者震いするほど面白い。
アーティスト・イン・レジデンスは、その地や人と関わるなら、貪欲に両者が向き合わないと、いわゆる表面的なものにしか出会えないだろう。楽しいだけの観光や軽いレジデンス気分では、とうていできないだろう沖縄での滞在制作は、当然覚悟というものがいる。きっかけはどうあれ、沖縄にきて何をみつけられるのかは、ノーラだけではなく、私も関わっていただく人も同じはずだ。作品制作の過程とは、色々な道を曲がりくねって歩いていく先に、見えるようで見えないものを探していく行為だろう。その道程には自分の生きてきた全ての記憶と判断が伴ってくる。それを沖縄でできることの意味を思う。

この宮古島での2日間で経験や想像したものをきっかけに、7月の沖縄レジデンスの目指す方向性に光が差し込んだように思う。自然と一体になった御嶽、神歌、祝女(ノロ)、神事が、資料としてではなく実在するものとして語りかけてくれた。これはきっとノーラの作品制作に必要な要素になるんじゃないか。

今回のプロジェクトの受け入れは、このクバアーティストの小川京子さん、クイチャーフェスティバル実行委員の前里昌吾さんと下地暁さん、宮古島市文化協会の大城裕子さん、根間かずみさん、右田亜子さんを中心に、プログラム・コーディネートをしてくれています。
7月3日が本当に楽しみです。海ぶどう丼も。

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